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噛みしめ癖

お口の中を見ると、舌の縁に歯の型がついていたり、頬の内側にスジがついていたりしませんか?

これは上下の歯が接しているところに、舌や頬などの柔らかい粘膜が歯に押し当てられてついた跡です。
これがあると、その人は歯を噛みしめる癖を持っていることが分かります。

安静にしているときには上下の歯は当たっていない、つまり噛んでいないのが普通なので、この粘膜に押し当てられた跡はない方がよいのです。

食事の時と荷物を持つなど身体に力をいれるときには、奥歯でくいしばるために上下の歯は当たりますが、それ以外は前歯で1、2ミリの隙間があり、安静空隙といわれています。

最近はスマホを見るという時間が多くその体勢、下を向き無意識に噛みしめているということがあるとおもいます。

噛みしめ癖により歯を噛んでいる時間が長くなると、歯が欠ける、詰め物がはずれる、歯がぐらぐらする、歯が痛い、などの歯の症状が出ることがあります。
ひどくなれば顎がカクカクいう、顎が痛い、口が開かないなどの顎関節症の症状も出る場合があります。また顎を閉じる筋肉を酷使することになり、肩こりや頭痛が生じることもあります。

対処法として、上下の歯を当てないと意識し、気がついたときに歯を浮かすようにしましょう。また舌の先が下の前歯の根元あたりにあると、無意識のうちに上下の歯同士が当たってしまいます。舌の位置は上の歯についているのが望ましいです。
唇を閉じて、舌を上の歯につけて、鼻で息をすると、自然に安静位がとれます。

1度、お口の中を鏡で確認してみてください。
舌や頬などに跡がついていないですか?
何気ないときに歯と歯が当たっていないか、注意してみてください。


歯肉増殖症について

 

歯肉増殖症(しにくぞうしょくしょう)とは、歯肉が肥大したり増えたりする、異常な過形成のことをいいます。原因はさまざまですが、大きく次のように分類されます。

◆単純性歯肉増殖症
単純性歯肉増殖症は、歯肉組織が増殖したことにより起こるものです。口呼吸などによる歯茎への刺激からこの症状が出ることがあります。

原因・・・多くは口呼吸やお口の中の汚れのコントロール不足が原因と考えられます。

◆歯肉線維種症
歯肉の発育異常によって起こる症状で、非常に稀な病気です。
乳歯が生えるとともに、または思春期に発病します。
歯肉の表面は平らで、色も正常と同じピンク色か白色で、歯肉はやや硬い程度に感じられます。重症化し歯肉が増えてくるとだんだん歯を覆い隠すようになります。

原因・・・遺伝性歯肉線維腫症と突発性歯肉線維腫症に分類されますが、歯が生えると同時に発症したり、悪化したりすることも多く、何らかの刺激が原因ではないかとされていたり、他にもさまざまな報告があるため、多くは原因不明です。
ただ、口腔環境が良くない方ほど、歯肉の増殖が顕著になる傾向があります。

◆薬剤性歯肉増殖症
ある種の薬剤を服用している方に見られることがある歯肉増殖症で、抗てんかん薬のフェニトイン、免疫抑制剤のシクロスポリン、高血圧や狭心症の治療に用いられるカルシウム拮抗薬のニフェジピンなどが誘発しやすい薬剤として主にあげられますが、歯肉増殖に原因になる可能性がある薬剤はこれ以外にも200種類以上あるとされています。発症する割合は、フェニトインが約50%、シクロスポリンが約30%、ニフェジピンが約15%程度とされています。

原因・・・それぞれの薬剤の作用の影響や、これも口腔内の汚れのコントロール不足が原因です。

 

歯肉増殖症は、口元の審美性が悪くなることももちろんですが、ブラッシングがしづらくなったり、口腔清掃にも影響を及ぼします。
治療法は、まず徹底したプラークコントロールの改善が不可欠です。
そのほか、歯科でのクリーニング、状態により歯肉切除などの歯周外科処置を行います。
薬剤性歯肉増殖症は、薬剤の服用を中止することもありますが難しい場合もあるため、やはり口腔清掃状態をきれいに保つことが大切です。

 


歯周病と予防

歯周病とは歯を支える歯茎(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊れていく病気です。最後には歯が抜け落ちてしまいます。

原因は細菌性プラークが挙げられます。

歯周病の予防のためには、デンタルプラーク(歯垢)を確実に取り除くことが大切です。

デンタルプラークが取り除きにくいところは歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、歯磨き剤などを総合的に利用することが必要です。

殺菌成分でよく配合されているものにはIPMP(イソプロピルメチルフェノール)やCPC(塩化ビリジニウム)があります。

歯茎の腫れや出血でよく配合されているものにはトラネキサム酸やグリチルレチン酸があります。

歯磨き剤は歯周ポケット奥に潜む歯周病菌を殺菌する成分や、歯茎の腫れを抑える成分が含まれているものを選びましょう。

 

 

 


鼻呼吸の大切さについて

近ごろ、お口がポカンと開いている子供や若者が多いことに気づかれていますか?そのほとんどは、口で呼吸をしている「口呼吸」の人です。

本来、老若男女問わず人間の構造上、鼻から呼吸するようにできています。鼻から息を吸うことで鼻の繊毛や粘液でウイルスや汚染物質の侵入を防いだり、鼻で空気を吸うことで空気が体温近くまで温められたりしますが、口呼吸では冷たい外気のまま肺に届き、肺の免疫力が低下し、肺にかかる負担が増えて風邪を引きやすくなることがあります。せっかく加湿器や空気清浄機を部屋に備えていても、口呼吸をしていると口、気道、肺が乾燥し、その効力が薄れてしまいます。

また、鼻呼吸は口の中の唾液の分泌を促します。唾液の中には、ウイルスの活性化や感染力を抑制する物質が存在します。しかし、口呼吸で口の中が乾燥すると口の中や喉の奥にいる細菌が増殖し、それから出る酵素がウイルスを活性化させ、口臭や虫歯、歯周病に感染するリスクが高まります。

人は生まれてから、母乳を吸うことで鼻呼吸を覚えると言われています。しかし、離乳時期が早いこと、食べ物がやわらかくなったこと、指吸やアレルギー等が原因で口呼吸が始まると言われています。さらに幼少期から口を開けている時間が長いと、口周りの筋肉が弱くなるため歯並びが悪くなったり、上下の噛み合わせが開くようになったりします。さらに、口呼吸のまま成人すると、睡眠時無呼吸症候群になるなど、全身的な病気の心配も出てきます。

そうならない為には、お口周りのリハビリテーションが必要になります。ご家庭でも簡単にできる方法としては「あいうべ体操」があります。

・あいうべ体操・

1.「あー」と口を大きく開ける

2.「いー」と口を大きく横に広げる

3.「うー」と口を強く前に突き出す

4.「べー」と舌を突き出して下に伸ばす

1~4を1セットとし1日30セットを目安に行います。喋る時よりお口をしっかり大きく動かすことが必要で、最初は2、3度に分けた方が続けやすいです、入浴中に行うのをオススメします。体操をすることによって、舌や口の周りの筋肉を強化することができ、年齢を問わず鼻呼吸をして健康管理ができるとこが期待できます。

口呼吸の心配がある方はもちろん体操のやり方に興味がある方は、気軽にご相談下さい。