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あまりしたくない麻酔について

『過去に麻酔が効かなくて大変苦労した』という方はいらっしゃいませんか?
いろいろな原因により効きにくいことがあります。

・炎症が強い
・歯の周囲に膿が溜まっている
・下の奥歯辺りに麻酔をする

上記が主に効きにくい原因です。
炎症は強ければ強いほど効きにくく、膿は麻酔の効果を弱めてしまいます。 また下の奥歯が生えている周りの骨は他の部分より固く、密度が高いため麻酔液が浸透しにくいので、結果なかなか効かないというわけです。
そのような時は麻酔液の量を増やして様子をみたり、それでも効きそうになければ投薬を行い後日改めて治療を行ったりします。

ところで同じ麻酔でも「効きやすい場所」「効きにくい場所」があるのをご存じですか?
これは歯を支えている「骨の硬さ・密度」によるものなのです!
同じ上あご・下あごでも場所によって効き方が違います(●^o^●)d
上の歯や下の前歯周辺の骨は比較的薄く、下の奥歯は分厚いので麻酔液が浸透しにくいのです。
よって、一般的に上の前歯>上の奥歯>下の前歯>下の奥歯の順で麻酔が効きやすくなっています。

虫歯など酷くなる前に治療を行えば麻酔が効きにくいことはありません。
非常に稀ではありますが、体質的に上の前歯でも麻酔が効きにくく、すぐに効果が切れてしまう方もいらっしゃいますので、その時はすぐに教えてくださいね(*^^*)
しかし多くは痛みを限界まで我慢してしまった場合に起こるので、定期的に健診を受けたり「何かおかしいな?」と思ったらすぐに受診するようにして下さい!
そうすれば治療も短期間で済みますよ(*^^)v♬


噛みしめ癖

お口の中を見ると、舌の縁に歯の型がついていたり、頬の内側にスジがついていたりしませんか?

これは上下の歯が接しているところに、舌や頬などの柔らかい粘膜が歯に押し当てられてついた跡です。
これがあると、その人は歯を噛みしめる癖を持っていることが分かります。

安静にしているときには上下の歯は当たっていない、つまり噛んでいないのが普通なので、この粘膜に押し当てられた跡はない方がよいのです。

食事の時と荷物を持つなど身体に力をいれるときには、奥歯でくいしばるために上下の歯は当たりますが、それ以外は前歯で1、2ミリの隙間があり、安静空隙といわれています。

最近はスマホを見るという時間が多くその体勢、下を向き無意識に噛みしめているということがあるとおもいます。

噛みしめ癖により歯を噛んでいる時間が長くなると、歯が欠ける、詰め物がはずれる、歯がぐらぐらする、歯が痛い、などの歯の症状が出ることがあります。
ひどくなれば顎がカクカクいう、顎が痛い、口が開かないなどの顎関節症の症状も出る場合があります。また顎を閉じる筋肉を酷使することになり、肩こりや頭痛が生じることもあります。

対処法として、上下の歯を当てないと意識し、気がついたときに歯を浮かすようにしましょう。また舌の先が下の前歯の根元あたりにあると、無意識のうちに上下の歯同士が当たってしまいます。舌の位置は上の歯についているのが望ましいです。
唇を閉じて、舌を上の歯につけて、鼻で息をすると、自然に安静位がとれます。

1度、お口の中を鏡で確認してみてください。
舌や頬などに跡がついていないですか?
何気ないときに歯と歯が当たっていないか、注意してみてください。


歯肉増殖症について

 

歯肉増殖症(しにくぞうしょくしょう)とは、歯肉が肥大したり増えたりする、異常な過形成のことをいいます。原因はさまざまですが、大きく次のように分類されます。

◆単純性歯肉増殖症
単純性歯肉増殖症は、歯肉組織が増殖したことにより起こるものです。口呼吸などによる歯茎への刺激からこの症状が出ることがあります。

原因・・・多くは口呼吸やお口の中の汚れのコントロール不足が原因と考えられます。

◆歯肉線維種症
歯肉の発育異常によって起こる症状で、非常に稀な病気です。
乳歯が生えるとともに、または思春期に発病します。
歯肉の表面は平らで、色も正常と同じピンク色か白色で、歯肉はやや硬い程度に感じられます。重症化し歯肉が増えてくるとだんだん歯を覆い隠すようになります。

原因・・・遺伝性歯肉線維腫症と突発性歯肉線維腫症に分類されますが、歯が生えると同時に発症したり、悪化したりすることも多く、何らかの刺激が原因ではないかとされていたり、他にもさまざまな報告があるため、多くは原因不明です。
ただ、口腔環境が良くない方ほど、歯肉の増殖が顕著になる傾向があります。

◆薬剤性歯肉増殖症
ある種の薬剤を服用している方に見られることがある歯肉増殖症で、抗てんかん薬のフェニトイン、免疫抑制剤のシクロスポリン、高血圧や狭心症の治療に用いられるカルシウム拮抗薬のニフェジピンなどが誘発しやすい薬剤として主にあげられますが、歯肉増殖に原因になる可能性がある薬剤はこれ以外にも200種類以上あるとされています。発症する割合は、フェニトインが約50%、シクロスポリンが約30%、ニフェジピンが約15%程度とされています。

原因・・・それぞれの薬剤の作用の影響や、これも口腔内の汚れのコントロール不足が原因です。

 

歯肉増殖症は、口元の審美性が悪くなることももちろんですが、ブラッシングがしづらくなったり、口腔清掃にも影響を及ぼします。
治療法は、まず徹底したプラークコントロールの改善が不可欠です。
そのほか、歯科でのクリーニング、状態により歯肉切除などの歯周外科処置を行います。
薬剤性歯肉増殖症は、薬剤の服用を中止することもありますが難しい場合もあるため、やはり口腔清掃状態をきれいに保つことが大切です。

 


歯周病と予防

歯周病とは歯を支える歯茎(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊れていく病気です。最後には歯が抜け落ちてしまいます。

原因は細菌性プラークが挙げられます。

歯周病の予防のためには、デンタルプラーク(歯垢)を確実に取り除くことが大切です。

デンタルプラークが取り除きにくいところは歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、歯磨き剤などを総合的に利用することが必要です。

殺菌成分でよく配合されているものにはIPMP(イソプロピルメチルフェノール)やCPC(塩化ビリジニウム)があります。

歯茎の腫れや出血でよく配合されているものにはトラネキサム酸やグリチルレチン酸があります。

歯磨き剤は歯周ポケット奥に潜む歯周病菌を殺菌する成分や、歯茎の腫れを抑える成分が含まれているものを選びましょう。

 

 

 


鼻呼吸の大切さについて

近ごろ、お口がポカンと開いている子供や若者が多いことに気づかれていますか?そのほとんどは、口で呼吸をしている「口呼吸」の人です。

本来、老若男女問わず人間の構造上、鼻から呼吸するようにできています。鼻から息を吸うことで鼻の繊毛や粘液でウイルスや汚染物質の侵入を防いだり、鼻で空気を吸うことで空気が体温近くまで温められたりしますが、口呼吸では冷たい外気のまま肺に届き、肺の免疫力が低下し、肺にかかる負担が増えて風邪を引きやすくなることがあります。せっかく加湿器や空気清浄機を部屋に備えていても、口呼吸をしていると口、気道、肺が乾燥し、その効力が薄れてしまいます。

また、鼻呼吸は口の中の唾液の分泌を促します。唾液の中には、ウイルスの活性化や感染力を抑制する物質が存在します。しかし、口呼吸で口の中が乾燥すると口の中や喉の奥にいる細菌が増殖し、それから出る酵素がウイルスを活性化させ、口臭や虫歯、歯周病に感染するリスクが高まります。

人は生まれてから、母乳を吸うことで鼻呼吸を覚えると言われています。しかし、離乳時期が早いこと、食べ物がやわらかくなったこと、指吸やアレルギー等が原因で口呼吸が始まると言われています。さらに幼少期から口を開けている時間が長いと、口周りの筋肉が弱くなるため歯並びが悪くなったり、上下の噛み合わせが開くようになったりします。さらに、口呼吸のまま成人すると、睡眠時無呼吸症候群になるなど、全身的な病気の心配も出てきます。

そうならない為には、お口周りのリハビリテーションが必要になります。ご家庭でも簡単にできる方法としては「あいうべ体操」があります。

・あいうべ体操・

1.「あー」と口を大きく開ける

2.「いー」と口を大きく横に広げる

3.「うー」と口を強く前に突き出す

4.「べー」と舌を突き出して下に伸ばす

1~4を1セットとし1日30セットを目安に行います。喋る時よりお口をしっかり大きく動かすことが必要で、最初は2、3度に分けた方が続けやすいです、入浴中に行うのをオススメします。体操をすることによって、舌や口の周りの筋肉を強化することができ、年齢を問わず鼻呼吸をして健康管理ができるとこが期待できます。

口呼吸の心配がある方はもちろん体操のやり方に興味がある方は、気軽にご相談下さい。


ホワイトニングいろいろ

今回は、歯を白くする歯科治療の1つ『ホワイトイング』についてお話します。

ホワイトニングは広く知られてくるようになるにつれて、その言葉の持つ意味も拡大しているようです。
少し整理してみると下記のようになります。

*歯科医院で(医療機関で行う医療行為)*
①オフィスホワイトニング→歯科医師または歯科衛生士が歯科医院で行う
②ホームホワイトニング→歯科医師または歯科衛生士の指導のもと自宅で行う
③ウォーキングブリーチ→歯科医師が歯科医院で行う
④クリーニング→歯科医師または歯科衛生士が歯科医院で行う
*自宅で*
⑤歯磨剤で歯についたステイン(着色)を取る
*店舗(医療行為ではない)*
⑥セルフホワイトニング→歯面に白く見える素材を追加する

まず、本来のホワイトニングは医療行為で、薬剤を使用し元の歯の色調より白くするという処置です
歯の表面に過酸化水素・過酸化尿素などの薬剤を塗布し、その薬剤が歯に微量に含まれている色素を分解することで、歯そのものの色が調整できます。
反応を促すために光やレーザーを当てる場合もあります。
これには①オフィスホワイトニングと②ホームホワイトニングがあります。

①オフィスホワイトニングは、薬剤が歯茎につかないよう保護をしてから薬剤を塗布し光やレーザーを当てる処置を数回繰り返し、色調を調整しながら行います。
オフィスホワイトニングは歯の表面を白くするので、短期間で白くしたい方にオススメです!
1回である程度の白さを実感でき、平均2〜3トーンUPします!
しかし、持続性はホームホワイトニングより色戻りが早いといわれています。
②ホームホワイトニングは、ホワイトニングキットを持ち帰り、薬剤をあらかじめ歯型をとって作っておいたマウスピースに入れて行います。
叢生(歯が部分的に重なっている状態)やエナメル質の透明度が高い方、自分の好きなタイミングで行いたい方にオススメです!
じっくり時間をかけて歯の内面を白くしていくため、2〜4週間で白さを実感できます。
平均2週間で1〜2トーンUPします!
色戻りはオフィスホワイトニングよりは遅いといわれています。
※上記はあくまでも一般的なお話であり、その方の歯の質によって効果は異なります※

どんな治療法でも同じですが、状況や症状に合わせてできる場合とできない場合があります。
①と②の方法は歯髄(歯の神経)がある歯に対して治療が可能で、歯髄のない歯には効果がありません。
また白い被せ物・部分的に詰めているプラスチックの変色にも効果がありません。
歯髄のないだけに行うのが③ウォーキングブリーチです。
歯の神経を抜いた歯は、長期間で少しずつ黒ずみ、変色してくることがあります。
変色した歯の内部にブリーチ用の薬剤を入れて変色を和らげる、1本ずつの歯を対象にしたホワイトニングです。

近年⑥セルフホワイトニングを行える店舗やサロンが増えてきました。
ここで使用する薬剤は歯科医院で使用する薬剤とは異なり、歯の表面に付いた汚れを落とすことしかできず、歯の色そのものを白くする作用はありません

『ホワイトニング』という言葉1つで、これだけのものがあります。
歯を白くしたいとお考えの方の判断材料として今回のお話が役立てばいいな、と思います☺️


歯を磨くと出血する原因は?

歯磨きの際に歯ぐきから出血することがあるでしょうか。

出血の主な原因は歯ぐきの炎症です。

歯肉炎とか歯周炎といわれる疾患に陥った歯ぐきにブラッシングなどの刺激が加わると、比較的簡単に出血してしまいます。重度な歯肉炎や歯周炎になり歯ぐきの状態が悪くなると、刺激が加わらなくても出血するこどがあります。

出血してしまうと恐怖心からブラッシングをしなくなってしまったり、うがい薬だけですませたりということになる方もおられます。

そうなると、ますます歯ぐきの状態は悪化してしまいます。

出血の度合いにもよりますが、ブラッシング後早くに血が止まるということであれば、正しい方法でブラッシングすれば歯ぐきの状態が改善し、出血を減らしていくことが可能であると考えられます。

歯ブラシの種類をそのような歯ぐきに対応した柔らかいものにしますと歯ぐきのマッサージ効果も得られ清掃することができますので有効です。

その際、最初はある程度の出血があると思われますが、ブラッシングを継続していきますと出血の量が少なくなってくるはずです。

改善しなければ歯科医院を受診してください。

歯ぐきの状態が改善していけば歯ブラシの毛の硬さを少し硬いものに変えていくことで歯面の汚れを落とす効率があがります。

最終的に普通にブラッシングする程度では出血しないようになるのが理想的ですが、

なかなか困難であることに間違いありません。

定期検診で歯周病予防してみませんか?

定期検診ですることは、歯磨きがしっかりできているか、新たな虫歯ができていないか、歯周病が進行していないか、など色々あります。

中でも、成人の8割がかかっているといわれる歯周病の定期検診の重要性についてお話します。

まず、歯周病とは、歯垢の中の歯周病原菌が歯ぐきに炎症を起こし、徐々に歯の周りの組織を破壊していく細菌感染症です。

痛みなどの自覚症状がなく進行することが多いので、サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)と呼ばれ、症状が進行すると歯を支えている骨を溶かし、やがて歯が抜けてしまう原因になります。

次に、歯周病は単に口の中だけの病気ではなく、全身の病気と関係していることが注目されるようになっています。

例えば、メタボリックシンドロームの要因の一つである肥満の方は脂肪細胞から次々と炎症物質が放出され、

それが歯ぐきの炎症を引き起こし、歯周病の発症や進行と関係するのではないかと考えられています。

また、糖尿病の方は歯周病にかかっている割合が高く、重症化しやすいことがわかっています。

同様に、歯周病のある人はない人に比べて心疾患を発症するリスクが高いと言われていますし、

歯周病菌は肺炎の原因となるものが多いので、

高齢、認知症など食物の飲み込みを上手くできない人は、特に注意が必要です。

このように、全身の病気の引き金になりますので

4ヶ月から半年に一度定期的に歯周病に関連した検査を受け歯磨きの状態をチェックし、

歯石や歯垢の除去など専門的なケアを受けることが重要です。


歯はなぜ割れるのでしょう?

正常な歯でも、構造上の欠陥として小さなヒビをたくさんもっています。
しかし、これは歯の健康にとっては障害とはならず、やはり原因の大部分は外から加わる力ということになります。

当たったり、ぶつかったりという大きな衝撃力は、それだけで歯が割れる原因となります。これと同時に注意が必要なのは、氷やアメなどを噛み潰すときの「ガリッ」という力です。

食事や歯ぎしりなど、普通の日常で歯を噛み合わせるような小さな力でも、繰り返しかかる力はヒビや亀裂の原因となります。
人工的に作る被せ物(冠)や詰め物も、相手の歯との当たり方を適正に考慮したものでないとわれる危険度が高まります。

注目したいのは、神経の生きてる歯の方がヒビや亀裂は入りにくく、それに比較して神経を取ってしまった歯は、その後の経過時間が長くなるにしたがって割れる危険度がより高くなります。

一般に神経と言っている歯髄は、歯の根の先から中心にある管の中に入っている血管や神経、その他の組織のことを言っています。
これらの組織は歯に栄養を送る働きがありますが、それを取ってしまうということは、歯に栄養を送ることができなくなり、歯が死んでしまうことを意味します。
死んでしまった歯は神経のある歯に比較して、植物にたとえるなら枯れ葉のようにもろくなってしまいます。

したがって、神経を取ってから長く経過した歯は、根自体が弱くなってしまいますし、虫歯はを放置しておいたり、根の治療を放置して健全な歯の部分が少なくなった歯に、耐えられない過度な力が加われば、どうしても歯は割れてしまいます。
ブリッジや場合によっては部分入れ歯を入れている状態では、さらに大きな力がかかりやすく、割れる危険度が高くなることもあります。

また、もともと噛む力が強い人や歯ぎしりなどをする人は、想像できないほどの大きな力がかかり、特に奥歯では割れる危険度はかなり高くなります。
歯が割れる原因は、歯にかかる過大な力およびその繰り返しと歯、特に根の強度の低下が限界に達したことによると考えられます。

虫歯を進行させないためにも、早期発見、早期治療しましょう。
定期検診を受けるように心がけましょう。


妊娠中の口腔清掃・むし歯について

 

♦︎妊娠時の歯みがき
妊娠時に最初に気をつけなければいけないことは、歯・お口の清掃です。
妊娠初期の2ヶ月頃からつわり(悪阻)が現れてきます。
教科書的には妊娠4ヶ月頃までには消失することがありますが、実際には妊娠3ヶ月頃には約80%の方がつわりを認め、それ以降においても60~70%の高い出現率で全妊娠期を通して認められます。
つわりがあるときは歯みがきをすることがつらく、特に奥歯は磨きにくくなります。このような時は、香料の強い歯磨き粉を避けたり、小さめの歯ブラシに変えるなどの工夫をしてみましょう。また、顔を前傾させ、前にかきだすように磨くと、ブラッシングがしやすい場合があります。虫歯予防のためには、まずは妊娠初期のブラッシングを丁寧にし、怠らないことが大切です。実際、つわりがある中で十分にブラッシングができる妊婦さんは少なく、つわりの重い方では、歯みがきが何ヶ月にもわたってできない場合もあるのです。長い期間ブラッシングができないと、虫歯予防は極めて難しくなるのです。

♦︎妊娠時の食習慣
お腹のなかの赤ちゃんが大きくなってくると、消化管も押し上げられるように圧迫されて、一度に食べることのできる食事量が少なくなってきます。妊娠時は間食が増え、妊娠7ヶ月では1日1回だった間食も、8ヶ月をすぎると2回3回と増える方も多いようです。スナック菓子のようにすぐに食べられる菓子類を食べることも増えやすいです。だらだら食べに注意しましょう。

♦︎妊娠と歯周病
第一に妊娠初期のつわりが原因で歯みがきが十分にできなくなる期間が出てきてしまうために、歯みがきができないと当然、お口の中の細菌は増加してしまいますので、歯周病に罹りやすくなります。
そのほかに、ホルモンの影響もあります。妊娠すると胎盤や妊娠黄体からエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。このエストロゲンは細胞の増殖に関与すると言われていますので、歯肉に炎症が起きると、腫れやすくなるということになります。
また、プロゲステロンというホルモンは、過剰分泌により血管の透過性が亢進する(血管内の血液成分が血管壁から外に漏れやすくなる)と言われているので、これも歯肉の腫れなどの炎症症状に関与すると考えられます。
妊娠が直接歯周病の原因になるということではなく、歯周病を増悪させる要因になる可能性がありますので、妊娠中は特にお口のお手入れを怠らないようにすることが大切です。

歯肉炎がどんどんひどくなると歯を磨こうと思っても痛みが強く、出血も多くなり、全く手のつけられないような状態になってしまう恐れもあります。
歯周病、虫歯の予防は、妊娠初期からの予防がとても大切です💡


むし歯、歯周病の特効薬はない!?

これだけ科学が発達しいろいろな薬が開発されているのに、、むし歯や歯周病をひき起こすばい菌をやっつけて、除菌する薬がなぜ無いのかと思ったことはありませんか?

そんなことをしたら商売として成り立たなくなる歯科医師と製薬会社が結託して薬の製造を阻止するようなことは決してありません。

特効薬を作れない理由があるのです。

少し専門的なお話になりますが、細菌による病気(感染症)は強毒菌感染症と弱毒菌感染症の二つに分類されます。

前者は法定伝染病のように、感染すると必ず発病してしまう病原性の強いばい菌がひき起こすもので、そのばい菌が普段身近にはいなくて、私たちが遭遇すると感染してしまいます。

これらは大抵その病気にかかったかどうかの検査法も確立しており、治療法や効果的な抗生剤が用意されていることが多いです。

一方、弱毒菌感染症では事情が違います。これは普段私たちの身体に住みついているばい菌(常在菌)が原因で起こります。病気を起こす力が弱いのでばい菌がいるだけでは何ともありませんが、一定の条件がそろった時に病気をひき起こします。

口の中においては、歯垢(しこう)が出来てきた時です。しかも、普段から身体に潜伏しているので、風邪やその他の病気になった時に飲む抗生剤にほとんどさらされて慣れています。

だから、抗生剤が効きにくいのです。

特効薬を作らないのでなく作れないのです。

原因となるばい菌を抗生剤などで完全に死滅させることは不可能なので、結局は歯垢ができないようにお掃除することが重要になります。

歯科医師が歯を磨く指導をするのは、このような理由があるからです。

ばい菌の少ない健康な口を保つためには、ブラッシングが重要なのです。

むし歯予防とフッ素について

むし歯の予防としてよく知られているものにフッ素があります。

特に生えたての歯のエナメル質は成熟しておらずフッ素の効果が高いとされています。

現在フッ素はほとんどの歯磨き粉に含まれており、フッ素入りでない歯磨き粉を探す方が難しい状況です。

すなわち、歯磨き粉を使用していると知らず知らずのうちにフッ素によるむし歯予防を行っていることになります。1990年代の歯磨き粉は30%から50%の製品にしかフッ素が入っていませんでした。

フッ素を使ったむし歯予防の方法にはフッ素洗口、フッ素塗布などがあり、歯科医院あるいは、保健所、学校等で行われています。

近年歯周病により歯肉が痩せ、歯の根の部分のむし歯が多くみられるようになりました。この根の部分のむし歯予防にフッ素の効果が再認識されるようになってきました。

また、フッ素はむし歯予防だけでなく、ごく初期のむし歯に対してもむし歯を抑制するという効果があります。これは再石灰化を促す効果があるためです。

しかし、穴があいたようなむし歯には効果がありません。むし歯の予防は穴があく前の段階での話ですのでお間違えなく。

最近では病院の薬の成分を市販薬に転用したスイッチOTC薬剤としてむし歯予防用フッ素洗口市販薬が薬局で販売されるようになりました。

これにより歯科医院でしか購入できなかったむし歯予防薬が購入できるようになりました。フッ素によるむし歯予防は子供だけでなく大人にも有効です。

しかし、フッ素だけに頼るむし歯予防は危険です。むし歯はいろいろな要因で起こる病気です。そのため予防にはいろいろな方法を組み合わせることが必要です。むし歯予防を確実にするために定期的に歯科医院を受診、自分に適した予防法の指導を受けることをお勧めします。