人は45~75歳の30年間に、平均して約10本の歯を喪失するという統計があります。こうした歯の喪失を防ぐには、歯周組織を良好かつ長期間維持するための健康管理、つまりメンテナンスが大切です。
メンテナンスについては、歯が喪失する事態へ至るまでの歯周病に対する治療介入によって、段階的に分類ができます。
まず一つは、健康意識の高い患者様、歯は健全だが虫歯リスク、カリエスリスクの高い患者様に対する予防的メンテナンスです。ブラッシング指導によるプラークコントロールやオーバーブラッシングによる歯肉退縮などへの注意が必要になります。
そして、歯周外科を行って歯周組織の状態が改善した患者様に対する治療後メンテナンスの場合は、歯周病が再発しないように注意をすることが当然肝要です。
これらの他に、歯の生え際の溝、所謂歯周ポケットの健康的な数値は2mmですが、4~5mmと不安定で病状進行の不安が残る患者様に対する試行的メンテナンス。
そして、歯周病進行ハイリスクを抱えてはいるが積極的介入を希望しない・できないような患者様に対する妥協的メンテナンスがあります。
これらはメンテナンス間隔を1~3ヶ月と短く設定することで、病状の進行を極力回避することが目的です。
メンテナンスに移行しなかった患者様の喪失歯数が平均3.12本なのに対して、メンテナンス移行した患者様の喪失歯数は平均1.08本という事実もあり、メンテナンスがいかに重要であるかが分かります。
このようにメンテナンスの分類を患者様の口腔の状態や生活スタイル、考えを総合して判断しふるい分けすることでより良いプラークコントロールができます。また患者様ごとに歯科衛生士を担当制にすることも、より患者様個々の特性に見合った親密なケアができるので有効です。